METAL TREE SUPPORT
技術を活かすものづくり
北勢工業は鋳造品メーカーとして上下水道をはじめ道路、電力、通信といったインフラ基盤や、樹木保護盤、車止めなど、都市の機能や景観を支えるものづくりを通し、街や暮らしに貢献してきた。今回のプロジェクトでは、都市環境における快適性や安全性を追求するものづくりを模索する中で、近年の大型台風や豪雨などの影響で注目を集めている『街路樹支柱』に着目。鋼管で作られている既存製品を見直し、鋳物を用いた製品にすることで、機能性やデザイン性を向上させると同時に、北勢工業の高い技術力をより良く表現できるようなプロダクトの開発を目指した。
製法を活かしたデザイン
鋳造の特性を活かし、1つの型から生まれるパーツ同士を連結して作る『街路樹支柱』。樹木を囲む鋳物のリングは3つの同じパーツで構成される。鋳物のパーツは、高い強度と耐久性をもつと共に、柱となる長円形の鋼管を挟み込みながら互いをボルト1本で締結する機構や、樹木を支えるベルトを通す形状を有している。これらは製品に求められる様々な機能や条件を、素材や製法の特性を活かしながら形に落とし込む検討を繰り返し行った結果である。鋳物ならではのデザインで必要な機能を十分に満たしながら、都市の景観に馴染むすっきりとした佇まいを実現した。
Designer's voice
北勢工業の強みは時代や環境の変化、社会のニーズに素早く対応したものづくりにある。公共性の高い製品に対する責任のある製品開発と信頼性の高い生産体制によって、都市の機能や景観を支える製品を数多く製造し、広く社会に貢献している。今回のプロジェクトにおいても、提案に対し建設的な議論を重ね、試行錯誤を繰り返しながらデザインを具現化する事ができたのは、長年にわたって積み重ねてきた知識や技術力に加え、暮らしを支えるものづくりへの責任と安心安全な社会への想いをもっているからこそだと思う。