HIGASIOSAKA FACTORies

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丸編みニットならではの新たなものづくり

文殊が企画から製造を担う丸編みニットは、丸編み機特有のループが螺旋状に繋がる構造と、用途に合わせた糸の組み合わせにより、しなやかな柔軟性と心地よい伸縮性を持つ生地である。この特性を活かし、これまではレディースインナーを中心とした衣料品で、人々のカラダに寄り添って来た。今回のプロジェクトでは、衣料品とは異なる新たな分野で、丸編みニットならではの特性を活かし、新たなカタチで人に寄り添うモノづくりに挑戦する。文殊初となるオリジナルブランドでもある事から、新たなビジネスモデルに取り組む第一歩となる。

ありふれたもの/ありふれていないもの

丸編ニットの柔軟性と伸縮性を活かした、複数の袋が連結する巾着。生地が伸縮するため容量は大きく、インナーバッグ、あるいはトートバッグのように日用の場面で使用できる。普段から旅行時の移動や収納に様々な数や大きさの袋物を活用しているが、一方でどこに何を収納したか分かりにくくなる。そのストレス緩和のために一つにまとめる方法がないかと考えるところから着想を得た。サイズや色を展開しやすいことも布製品の楽しさかもしれない。袋物は既に無数のデザインが存在するが、現代のライフスタイルに提案し得るものとして可能性を感じている。

Designer's voice

布は人類が最も長く寄り添ってきた素材の一つ。安価に製造普及できるようになったのは比較的近代からとはいえ、布にまつわるプロダクトは既に発明され尽くされているとも言えるだろう。文殊さんが作る丸編み生地は人肌で触れる普遍的なやさしさが感じられるもの。あまりにも身近なこの素材の魅力をどのように知ってもらえるか、真剣に向き合っている姿に感銘を覚えた。その姿勢に応えるべく素材を素直に利用し、現代の生活に適合でき、さらには文殊さんがビジネスとして今後の展開も考えられるようにプロジェクトを包括的にデザインするように心がけた。

株式会社 文殊

株式会社 文殊

1947年創業。レディースのインナーを中心とした「丸編みニット生地および製品」の製造を行う。高品質の機能素材と技術で用途に適した新しい生地を開発している。生地販売のみならず、素材の機能性を活かした製品の企画から製造を担い、確かな技術は市場で高い評価を受けている。編立‐染色‐縫製まで一貫体制が可能な強みを活かし、ニットの可能性を広げる新たな価値の創出を目指している。
http://kimura-knit.co.jp

小関 隆一

小関 隆一
RKDS 代表

多摩美術大学インテリアデザイン専修卒業、プロダクトデザイナー喜多俊之氏に師事した後2011年にRKDSを設立。デザインを価値の創出行為として位置づけ、プロダクトデザインを中心に幅広い領域の活動を包括的行なっている。Red Dot Design Award, iF Design Award, German Design Award, グッドデザイン賞特別賞やベスト100、ストックホルムファニチャーフェア・グリーンハウスのBest Performanceなど受賞多数。
https://ryuichikozeki.com